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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

遅れたターキー

(2010年11月21日)

11月第4木曜日は、アメリカでは「感謝祭」の祝日です。今年は、今週の木曜日にあたります。

感謝祭といえば、私には、東京の母教会にいた頃の忘れられない思い出があります。母教会では、英会話教室を開いていて、ある年から教会のメンバーや英会話教室の生徒さんたちとで、感謝祭のパーティを開催するようになりました。

1995年の感謝祭のパーティは、午後4時から始まる予定になっていました。ところが、午前中に七面鳥を注文していた肉屋さんから電話が入りました。オーブンが突然壊れてしまい、都心にある本店で焼くために、肉が届くのは4時半くらいになるというのです。集会の最初の方では、メッセージを聞いたり、歌ったりして、実際に料理を食べ始めるのは4時半過ぎになりますから、それで了承しました。

ところが、集会が始まって、4時半になっても七面鳥は現れません。何しろ、七面鳥と言えば、感謝祭の主役です。その年の司会者は私でしたので、これは大いに焦ってしまいました。

じりじりしながら七面鳥の到来を待っているとき、「すべての事について、感謝しなさい」(第1テサロニケ5:18)という聖書のことばが、突然私の心に響いてきました。そして、神さまがこう語っておられるような気がしました。「わが子よ。七面鳥が遅れていることを、感謝できますか?」と。

いいえ。私の精神状態は、感謝からはほど遠いものでした。焦りやイライラで一杯です。それでも心の中で「分かりました。感謝します。あなたは決してへまをなさらず、すべてのことを益に変えてくださいますから、感謝します」と祈りました。すると、不思議にイライラが軽くなりました。

ところが、そのまま時間は過ぎていき、5時半になっても七面鳥は来ません。そこで、主任牧師と話し合い、ついに「すみません。お金はお返しします。これでお開きにさせてください」と言おうと決めて、マイクに向かいました。

そして、「す」と言った瞬間(誇張表現ではなく、ほんとの話です)、玄関から「来ました!」の声。さっそく、七面鳥が運び込まれ、パーティが再開されました。

七面鳥が遅れたことを怒る人もなく、皆さん「かえって、ゆっくり話ができて良かった」と、喜んで帰られました。しかも、遅れたということで、肉屋さんが代金を半分にしてくださったのです。

「すべての事を、感謝する」。何でもないときに言うのは簡単ですが、実際の、具体的な状況でこれを行なうことが、私たちには求められているのですね。感謝するとは、今のあなたにとっては、何をどのようにすることなのでしょうか。

同様に、
  • 「隣人を愛せよ」とは、今のその状況に置かれているあなたにとって、誰に対して、どういう態度を取り、どういう言葉を語り、どういう行動をとることでしょうか?
  • 「信仰を持つ」とは、どういうことですか?
  • 「一致する」とは、具体的に何をすることですか?
  • 「敵を赦す」とは、いったい誰に対して何をすることですか?
聖書の言葉を抽象化すると、耳には心地よいかも知れませんが、そのみことばは決してあなたを変えません。みことばを、具体的に今のあなたの状況に適応しなければなりません。そのとき、そのみことばがあなたを励まし、慰め、きよめ、力を与え、変えてくれます。

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