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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

大きな円の一部

(2011年1月30日)

何でこんなことしなきゃならないのかなあ。生きていると、そんなふうにつぶやきたくなることが時々あります。

99歳の現役医師、「生き方上手」のベストセラーでおなじみの日野原重明先生。そのお父さまは牧師だったそうです。一時、あるミッションスクールの学長をなさっていた時、広大な山を購入し、町の中からそこにキャンパスを移そうしました。アメリカのデューク大学をモデルとし、町の喧噪を離れた美しい広々したキャンパスの中で、若者たちに全人格的な教育をと考えておられたのです。

ところが、周りにその理念を理解する者は誰もおらず、理事や教員たちからは、「あなたは山師だ」と罵られました。生前、その評価が覆ることはありませんでした。

しかし、今その学校の学生たちは、お父さまの購入なさった土地の上に建っている、美しいキャンパスで学んでいます。近年、そのキャンパスの隅に、お父さまの銅像が建てられ、日野原先生もその除幕式に呼ばれたそうです。

日野原先生のお父さまは、常々説教でこう語っておられたそうです。「神さまのために夢を描くとき、私はできるだけ大きな円を描こうとします。そして、自分はその円弧の一部になろうとします。全部できなくてもいい。自分に与えられたその部分を、一生懸命にさせていただくのです」と。

1882年に建設が始まった、スペイン・バルセロナの聖家族教会(サグラダ・ファミリア)は、今も建設中です。歴代の建築家や職人たちは、完成した姿を見ることなく亡くなりました。しかし、それでも彼らは誇りと喜びを持って働き、次の世代にバトンタッチしてきました。

神さまの描かせてくださる円の上にいるならば、その全部を自分が担当しなくてもいい。結果を最後まで見られなくてもいい。神さまによって、大きな大きな円を思い描きましょう。そして、自分の与えられた場所を、誇りと喜びを持って担当しましょう。

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