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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

熱烈歓迎

(2012年11月11日)

アメリカに留学した女性の話です。彼女は、異国の地で寂しい思いをしていた時に、近所に住む牧師夫妻と出会い、大変にお世話になりました。そして、牧師宅で開かれていた聖書の学びの集会にも顔を出し、聖書を熱心に学ぶようになりました。

ところが、そのうちにだんだんとその情熱が冷めてゆき、やがて全く集会に顔を見せなくなりました。代わりに、週末になると友だちと夜通し遊び回るようになり、やがてボーイフレンドと同棲するようになったのです。

しかし、そんな生活も、ボーイフレンドが他に女性を作って帰ってこなくなったことにより、破局を迎えました。彼女は深い悲しみに落ち、食事ものどを通らなくなりました。そんなどん底気分の時、ふと本棚の聖書に目が留まりました。彼女は、無性に牧師夫妻や教会の人々が懐かしくなりました。あそこには温かく、優しい交わりがあった。そうだ、もう一度やり直そう。彼女は牧師に電話をかけました。ところが、不在だったので、留守電に「久しぶりに明日の集会に行きます」とだけメッセージを残しました。

次の日、彼女は牧師宅の前を何度も行ったり来たりしました。あんなに親切にしてもらったのに、その恩を忘れて飛び出したのは自分だった。その結果惨めなことになったからといって今さら戻っても、図々しいと思われるだけじゃないのか……。そんな思いが心に浮かんできて、なかなか踏ん切りがつかなかったのです。

どれくらいそんなふうに悩んだでしょうか、やがて彼女は思いきって呼び鈴を押してみました。すると、すぐに牧師が玄関口に現れて、昔と同じようににこにこしながら、「おかえり、待ってたよ」と優しくハグしてくれました。

牧師に導かれて居間に入ると、そこには教会のメンバーがいて、「おめでとう!」と口々に声を上げました。そして、テーブルには大きなデコレーション・ケーキ。そう、その前の日、すなわち彼女が牧師に電話をかけた日は、彼女のバースディだったのです。自分でも、悲しみのあまり、そんなことすっかり忘れていたのに、教会の人たちは忘れないでいてくれたのでした。

私たちの神さまは、そのように、ご自分の元に帰ってこようとする人を、ただ受け入れるだけでなく、熱烈歓迎してくださいます。

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