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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

十字架の意味

(2013年9月1日)

小学生の裕樹君が6年生になった、最初の授業の日のことです。

裕樹君は、突然廊下に飛び出しました。そして、バケツに水を入れると、自分の席に戻り、隣の席の明美ちゃんに、頭から水を浴びせかけました。あっという間の出来事で、担任の先生も級友たちも、何が起こったのか、一瞬訳が分からなくなったほどです。

裕樹君は職員室に呼ばれました。先生は、どうしてあんなことをやったんだと尋ねました。しかし、どんなに厳しく詰め寄ろうとも、優しく尋ねようとも、裕樹君は理由については一言もしゃべりませんでした。先生は不思議でなりません。これまでの担任たちに話を聞いても、彼は授業態度もまじめだし、友だちにも優しく公正だし、とてもあんな意地悪をするような子どもではないというのです。実際、その事件の後の裕樹君は、前の担任たちが評したような、優しくまじめな子どもに見えました。

裕樹君が、この不思議な事件を起こした理由はこうでした。その日は、最高学年になった最初の日。緊張してトイレにも行けなかったのでしょうか、明美ちゃんはその場でお漏らしをしてしまったのでした。ぶるぶる震えている明美ちゃんの様子と、濡れている座席に気づいた裕樹君は、思わずバケツの水をかけてしまっていたのでした。

この事件のおかげで、そしてその理由を一言も語らなかったおかげで、裕樹君は叱られ、友だちからは悪者扱いされることになってしまいました。ただ、明美ちゃんだけが、この行為の意味を知っていたのです。

イエスさまは、ご自身の血によって、私たちの罪の恥を洗い流してくださいました。私たちは、あの十字架の意味を知っています。

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