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ショートエッセイ:中通りコミュニティ・チャーチ

古井戸に落ちたとき

(2014年9月21日)

中国の話。儒教の教師がクリスチャンになりました。それを聞いた弟子たちは、「西洋の宗教を信じるとは。しかも、たった一度宣教師の話を聞いただけで、宗旨替えするとは、いったい何事か」と、たいそう憤慨しました。そこで教師は、弟子たちにこんな話をします。

私が野原を歩いていたら、草むらに隠れていた古井戸に落ちてしまった。「助けてくれ! 助けてくれ!」と大声で叫んでいると、ある宗教の教祖が通りかかった。その聖者は、古井戸をのぞき込むとこう言った。「あれあれ、おまえは何でこんなところにいるのだね?」 私は答えた。「野原を歩いていて、井戸が見えずに落ちたのです」。すると、聖者は言った。「人の通る道というものがあるではないか。こんなところを通るから落ちるのだ。反省して、今度からはちゃんとした道を通りなさいよ」。そう説教しただけで、彼は行ってしまった。

また、私は叫んだ。すると、別の宗教の教祖が通りかかって、古井戸をのぞき込んだ。この聖者は言った。「なんと気の毒に。ほら、手を伸ばしてごらん」。そうだ。私が待っていたのは、お説教ではなく、助けだったのだ。私は喜んで手をさしのべた。ところが、どうしても手が届かないのだ。聖者はため息をついた。「ああ、おまえはなんと業が深いんだろう。前世の因縁だ。もうあきらめなさい」。そして、聖者は私を残して去っていってしまった。

そんなこと言われても、あきらめられるものか。私はなおも叫び続けた。すると、イエス・キリストが来てくれた。イエスは何も言わないで手をさしのべてくれた。西洋人の信じている神かと、ちょっとがっかりしたが、背に腹は代えられないから、仕方なく手を伸ばした。でも、やっぱり届かないんだな。

私は絶望してしゃがみ込んだ。すると、なんとイエスは井戸の中へ飛び降りてきた。そして私を肩に乗せて持ち上げると、井戸の外に出してくれたんだ。イエスは井戸の底から叫んで言った。「もう二度とここに来てはいけないよ。私のことはかまわないで、さあ行きなさい」。

だから、私はイエスを信じることにしたのだよ。

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