ショートエッセイ：中通りコミュニティ・チャーチ

（2021年11月7日）

19世紀のイタリアで活躍した楽器商・楽器コレクターに、ルイジ・タリシオ（1796-1854年）という人がいます。当時、南ヨーロッパでは古いバイオリンは価値が低いものと見なされていましたが、北ヨーロッパでは高値で取引されていました。タリシオはそこに目をつけました。

彼は南ヨーロッパを巡り、屋根裏部屋に眠っているような古いバイオリンを次々に安く買い集めました。そして、パリに持って行って修理すると、一部を北ヨーロッパで高く売り、残りは自分のコレクションとしたのです。

やがてタリシオが亡くなると、遺産の鑑定が行なわれました。その中には、ストラディバリウスを始めとする、今では何千万円、何億円もの値が付くような名品と呼ばれるバイオリンが144もありました。そんなものが屋根裏部屋に眠っていたなんて、なんともったいない話でしょうか。

しかし、私たちも本当は価値があるにもかかわらず、その価値に気づかずに無視したり、ぞんざいに扱ったりしてしまうことがあります。たとえばあなた自身。あなたは神さまの大切な作品であり、イエスさまがご自分のいのちと引き換えにしても惜しくないと思われたほどに高価で尊い存在です。

タリシオが古いバイオリンの価値に気づいて発掘していったように、どうかあなたもあなたや他の人の中にあるたくさんの宝物と見つけ出してください。そして、大切にしてください。