いらっしゃい

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(2012.10.14)

よしおくんは7歳。下に小さな妹がいますが、とてもかわいがって、よいお兄ちゃんぶりを発揮していました。

ところが、妹のあけみちゃんが重い病気になってしまいました。助かる方法は、すでにこの病気にかかったことがある人の血液を輸血して、免疫力を高めることでした。実は、よしおくんも、小さい時にこの病気のウイルスに感染したことがあり、血液型もあけみちゃんと同じでした。お医者さんは、両親と相談した後、よしおくんを呼んで言いました。「あけみちゃんを助けるために、よしおくんの血を分けてくれないか?」

話を聞いたよしおくんはうつむいて、唇をわなわなと振るわせました。まだ7歳ですから、注射針を腕に刺されて血を抜かれるなんて、きっと怖いんだろうなとお医者さんや両親は思いました。しかし、やがてよしおくんは顔を上げて言いました。「いいよ。あけみちゃんに血をあげるよ」。

すぐに輸血の準備が整えられました。注射針がよしおくんの腕に刺さりました。よしおくんは泣きませんでした。血がチューブを通って流れていきました。それをよしおくんはじっと見ていました。やがて、よしおくんは看護師さんに尋ねました。「僕、いつ死ぬの?」

そう。よしおくんは、血を抜かれたら死んでしまうと思っていたのです。みんな感動しました。よしおくんは、自分が死んで妹を助けようとしたのだと分かったからです。

輸血が終わって、みんなが尋ねました。どうしてそんなことができたのか、と。するとよしおくんは言いました。「僕の行っている教会の玄関には、イエスさまの絵があるんだ。両手を広げて『いらっしゃい』って言ってるみたいなの。最初、死ぬのが怖かったけど、イエスさまのことを思い出したら、怖くなくなった。だって、天国で両手を広げて『いらっしゃい』って、僕のことをお迎えしてくれるんだもん」。


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