先生

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(2013.4.21)

昨年末に亡くなった将棋の米長邦雄さんは、マスコミでも人気の棋士の一人でした。米長さんは、将棋の七大タイトルのうち、1985年に四冠を達成しました。しかし、名人位はなかなか獲得することができないでいました。

さて、強者があまたいる将棋界でも、七冠を達成した羽生善治さんは、まさに天才と呼ぶにふさわしい棋士です。米長さんは、羽生さんがデビューした頃、彼のことを「坊や」と呼んでいました。実際、羽生さんは米長さんとは親子ほども年が離れています。しかし、すぐに坊やと呼ぶのをやめてしまいました。そして、代わりに「先生」と呼ぶようになりました。羽生さんの実力を認め、積極的に羽生さんの将棋を学ぼうとしたのです。

ある時、米長さんは、「先生」のインタビュー記事を雑誌の中で見つけました。「将棋の進歩に取り残されないためにも、油断は禁物です。自分には、絶えず前向きな勉強が必要だと思っています」という記事でした。天下無敵の七冠王ですら、常に緊張感を持って前進しようとしている。その姿に感動しました。そして、その記事を切り抜いて自室の壁に貼り付けたそうです。また、他の若手とも積極的に交流して教えを請いました。このようにして修練を積み重ね続けた米長さんは、1993年、7度目の名人戦でついに悲願を達成します。49才。史上最年長記録でした。

聖書は言います。「何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりもすぐれた者と思いなさい」(ピリピ2:3)。成長の秘訣は「謙遜」です。しかし、謙遜というのは難しいですね。最近謙遜だなあと思ったとしたら、すでに傲慢だということですし。

謙遜の秘訣は、お互いが比較し合って優劣を競うというこの世のものの見方を離れ、いっさい比較する対象がいない絶対者、創造主なる神さまを見上げて歩むことです。神さまの前では、とても誇り高く顔を上げてはいられませんから。そして、「どうか導いてください」と膝をかがめるしかなくなりますから。

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