中傷するな

トップページショートエッセイ集2013年 > このページ


(2013.8.4)

ポーランドのラデンの町に、一人の青年が向かっていました。隣の席に座った、みすぼらしいなりをした男の人が、彼に「どこに行くのですか?」と尋ねたので、青年は旅の目的を話し始めました。

青年は、ラデンの町に住むハフェツ・ハイームというラビ(ユダヤ教の教師)に会いに行くところでした。「僕は、偉大な学者であり、聖人であるラビ・ハフェツ・ハイームから、直接祝福を受けたいのです」。青年は熱っぽく語りました。

すると、みすぼらしい男はこう言いました。「ハフェツ・ハイームは、あなたが思っているような人間じゃないですよ。わざわざ会いに行くほどの者ではありません。やめておきなさい」。青年はカッとしました。自分の尊敬するラビを中傷されたからです。青年は、思わず相手の男を殴りつけてしまいました。

ラデンに着いて、青年はラビの家を探し当てました。ドアをノックすると、中からラビが出てきました。その顔を見て、青年は心臓が口から出てくるほどに驚きました。何とラビ・ハフェツ・ハイームとは、汽車の中で自分が殴りつけた、あのみすぼらしい男だったからです。青年は、平身低頭で謝りました。

すると、ラビは静かに言いました。「いやいや、謝る必要などありません。むしろ私はあなたに感謝しているのですよ。私は今まで、聖書の教えを厳格に守ってきたつもりでした。だから、他の人を中傷しないように注意してきました。しかし、「中傷してはならない」ということは、自分自身をも中傷してはならないということなのです。私は、あなたがあまり私のことを高く評価してくれるものですから、居心地が悪くなり、ついつい自分のことを卑しめてしまったのです。しかし、あなたのパンチによって、その過ちを教えられました。ありがとう」。

Copyright(c) 2013 Nakadoori Community Church All Rights Reserved.