聞きたい音が聞こえる

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(2013.8.25)

東北出身の青年が、東京に就職しました。東京出身の友だちと二人で新宿の町を歩いていました。ふと、東北出身の青年が立ち止まり、「コオロギの声が聞こえる」と言いました。友だちは笑いました。こんな都会の真ん中にコオロギなんていないよ。いたとしても、この雑踏の中、うるさくて聞こえやしないよ」。

でも、その青年は、確かに聞こえると言います。そして、友だちを引っ張っていくと、歩道の脇にコンクリートを突き破って、少し草が生えているところがあり、確かにそこにコオロギがいたのです。

「すごいね。このうるさい音の中で、よくこの声が聞こえたねえ」と友だちが感心しますと、青年は言いました。「人にはね、聞きたい音が聞こえるんだよ」。

そして、ポケットから五百円玉を取り出すと、歩道にチャリーンと落としました。すると、付近を歩いていた数十人が、一斉に振り向きました。

人は聞きたい声を聞きます。ある人が「みんな私をバカにする」と言いました。それは事実かも知れませんが、その人自身が、自分をバカにするという事実を必要以上に拾って歩いている、ということでもあります。人が自分をバカにする前に、自分で自分をバカにしている。他人の言動を改めさせる前に、そこに気づくことがまず必要です。

さて、神さまはあなたになんとおっしゃっているでしょうか。神さまの声は、あなたへの愛のささやきです。聞きたいと思われますか? そうでしたら、必ず聞こえてきます。

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