傷跡から流れ出るぬくもり

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(2013.12.1)

知り合いに、救命講習の講師をしておられる方がおいでです。この方の講座を受講なさった生徒さんたちは、資格試験に非常に高い確率で合格なさいます。とういうわけで、大変な人気講師です。

その秘密はと尋ねてみますと、とにかくほめることだそうです。生徒さんたちは、技術がないから講座を受講するわけで、できないのが当たり前。ほんの少しでも進歩したところをほめる。たとえなかなか進歩できなかったとしても、その熱意をほめる。「すばらしい!」「大丈夫です!」といつも声をかけられているうちに、生徒さんたちはどんどん自信をつけていき、本来持っている力を100%発揮するようになるといいます。

この方が救命法の世界に入ろうと思われたきっかけは、10年前の交通事故でした。息子さんと一緒に事故に巻き込まれたのですが、その時の怪我が元で、息子さんは植物状態となられました。そして、もし救急車が到着するまでの間に、救命法を施すことができていたらと、ずいぶんご自分をお責めになったそうです。

しかし、やがて教会に通うようになり、次第に罪責感からも解放されていかれました。そして、救命法を学び始め、やがてできるだけたくさんの人たちに救命法を知って欲しいと、講師として教える立場にまでなられたのです。

決して生徒さんたちを責めないで、温かく励まし続けるこの方の背後に、非常に大きな悲しみや罪責感、またそこから解放された経験があるのだなと思わされました。イエスさまは、私たちの痛みを、決して痛みのまま放置したりはなさいません。
竹が割れた
こらえにこらえて倒れた
しかし竹よ そのときおまえが
共に苦しむ仲間達の背の雪を
払い落しながら倒れていったのを
私は見ていたよ

ほら倒れている お前の上に
あんなに沢山の仲間が
起き上っている

(星野富弘 「竹」)

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