手討ちにいたす

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(2014.2.16)

豊臣秀吉配下に、「賤ヶ岳七本槍」の一人と讃えられた加藤嘉明という戦国武将がいます。彼が伊予国松山を治めていた頃の話です。

嘉明は陶磁器が好きで、中でも十枚組の青磁の小皿がたいそうお気に入りでした。ところが、家来の一人が、その皿を一枚、誤って割ってしまいます。家来は、死を覚悟して嘉明に事の次第を報告しました。

誰もが、嘉明が烈火のごとくに怒り出し、その場で切腹を命ずるか、自ら斬り捨てると思いましたが、あに図らんや、彼は冷静沈着にこう申し渡しました。「たかが皿一枚のことで、大事な家来を死なせるわけにはいかぬ。よいか、自害などまかりならんぞ」。

さらに嘉明は、残り9枚の皿を持ってこさせ、それに向かってこう言い放ちます。「おのれ。たかが皿の分際で、仲間を割られたあがないに人の命を求めるとは、思い上がりもはなはだしい。お前たちこそ手討ちにしてくれるわ!」 そして、残りの皿を全部叩き割ってしまったのです。

あっけにとられる家臣たちを前にして、嘉明はつぶやきました。「これで良いのだ。皿を残しておけば、それを見る者がそのたびに、『あの者のために一枚欠けてしまった。何たる不届き者だ』と責め続けるであろう。そうなれば、お互いに不幸というものじゃ」。

こんなふうに、自ら犠牲を払ってまでも家臣を大切にしてくれる殿様のためならば、家臣は喜んで命をかけることでしょう。さて、あなたのためにイエスさまは何をしてくださったでしょう。あなたの命を救うために、ご自分の命をも惜しいと思わず、犠牲にしてさいました。それだけ、あなたのことが大切なのです。

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