私はここにいるの

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(2016.12.4)

20世紀初頭の、外国での話です。

8歳の女の子が、ある児童福祉施設に入ってきました。この子は、これまでもあちこちの施設で問題を起こし、そこにいられなくなっては、別の施設に移されてきました。そして、この施設でも、さっそくひどいいたずらをしては、職員や他の子どもたちを困らせます。しかし、どんなに厳しく叱っても、女の子の態度は改まりませんでした。院長は、このままでは、この施設からもあの子を追い出さなければならないと考えるようになりました。

ある日、院長が部屋から外を眺めていると、その女の子が人目を気にしながら門のところに走っていき、木の枝に何かを隠したのが見えました。また何かとんでもないいたずらを考えているのではないかと思い、女の子がいなくなると、院長はその木のところに行ってみました。すると、そこには一通の手紙が隠されていました。院長は頭を抱えてしまいました。規則違反だったからです。この施設では、手紙を書くときには、院長の許可が必要だという規則がありました。

院長は、枝から手紙を取り、中の手紙を読みました。すると、その手紙にはこう書かれていました。

「この手紙を読んでくれた人へ。本当に、本当に、本当にありがとう」。

院長は、ひどいいたずらを繰り返すこの女の子の心の声が聞こえてきました。「私はここにいるの。誰か私を見つけ出して、私を愛して」。院長は、すぐにあの女の子を探しに行きました。罰を与えるためではなく、抱きしめるために。

今日からアドベント(待降節)。クリスマスを待ち望む4週間が始まります。イエスさまは、私たちを捜し出すために地上に来られました。罪を罰するためではなく、愛するために。

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