怒りのコントロール法

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箴言12章15〜18節

(2015.10.11)

参考資料




聖書からのメッセージ

イントロ

今日のテーマは怒りです。特に今回の箇所は、人から自分の欠点や間違いを指摘された際に感じる怒りについて触れています。まずは、怒りとはどういう感情なのかを探ってみましょう。

1.どうして怒るのか

防衛システム

心理学者ツィルマンは、「危険にさらされた」という意識が怒りを喚起する万人共通の要素であると指摘しています。これは恐れと似ていますが、恐れが脅威の対象から逃げ出すことで危険を回避しようとする反応なのに対して、怒りは脅威に対して攻撃的に対応しようとする反応です。攻撃は最大の防御というわけですね。

危険意識が脳を刺激すると、カテコールアミンとかアドレナリンとかいった脳内物質が放出されます。これにより、心と体の緊張度が増え、心拍数や血圧が上がり、筋肉への血流量が増大し、発汗量が増えます。こうして、いつでも脅威の対象を攻撃できる準備を整えるわけです。これが怒りの状態です。

精神的な危険

ここで言う「危険」とは、物理的な危険だけでなく、自尊心や名誉を傷つけられたとか、自分が大切にしているものを粗末に扱われたとか、大事なことをしているのをじゃまされたとか、自分の権利を侵害されたかというような、精神的なものも含まれます。バカにされたり、レジの列に割り込まれたり、追い越し車線をのろのろ走る車がいたり、疲れて帰ってきたときに子どもが騒いで休息のじゃまをしたりした時などにも怒りを感じるのは、そのためです。

むしろ、近代の生活においては、精神的な理由の怒りの方が、私たちにとってはおなじみだし、様々なストレスや対人トラブルの原因になっているのではないでしょうか。

神さまも聖書の中でたびたび怒りを顕わにしておられます。それは、神さまご自身の栄光が傷つけられたり、神さまが大切にしておられる人や自然が傷つけられたりしているときです。

今回の箇所は、人から自分の欠点や間違いを指摘されたときに感じる怒りを取り扱っています。どうして怒りを感じるかといえば、「バカにされた」とか「嫌われた」とか「捨てられる」とかいうような、精神的な危険を感じたからでしょう。

怒りのメリット・デメリット

怒りは一種の防衛システムであって、自分や自分の大切な人たちの安全、あるいは財産や尊厳や権利などを守る働きがあります。ですから、怒りを感じること自体は悪いものではなく、むしろ大切な能力だと言えます。

しかし、怒りには心身の緊張が伴いますから、激しくエネルギーを消耗して疲れますし、これが続けば自分の心や体の健康を損ねてしまいます。

また、怒りの感情にまかせて、めったやたらに相手を罵倒したり、暴力を振るったり、ねちねちと復讐したり、陰口をたたいたり、周りの人に八つ当たりや愚痴の形で発散したりすれば、一時的にはすっきりするかもしれません。しかし、人間関係をおかしくしたり、場合によっては仕事や家庭生活などに深刻なダメージを招いたりすることにもなりかねません。もちろん、暴力を振るったり、法を犯す形で復讐したりすれば、犯罪者として罰せられたり、損害賠償をしなければならない羽目に陥ることになるでしょう。

怒り自体は大切な能力ですが、表現の仕方については考えなければならないということですね。では、その点に関して、今回の箇所が何を教えているかを見ていきましょう。

2.どう怒りをコントロールするか

謙遜さを育てよう

15節で、このように語られています。「愚か者は自分の道を正しいと思う。しかし知恵のある者は忠告を聞き入れる」

他人から自分の欠点や間違いを指摘されたとします。自分は正しいと思っていれば、指摘した人はとんでもない大馬鹿者ということになりますね。そんな奴は怒りをぶつけて罰を加えて当然! ですから、怒りがわいてきます。

しかし、知恵ある人は、他人からの忠告に耳を傾けます。それは、自分は聖人君子ではないと知っているからです。いたずらに自己卑下をしているのではなく、いつでも成長する可能性がある、伸びしろがたくさんあると思っているということです。

ですから、仮に的外れな指摘だったり、悪意に満ちた批判だったりしても、知恵ある人は、そこに何かしら成長のためのヒントが隠されていると思います。

受け止め方を見直してみよう

怒りは「脅威」を感じた時に発生します。もちろん、本当に脅威なのであれば対処しなければなりませんが、本当は脅威でないのにそうとらえて過剰反応してしまうと、様々なトラブルの元ですし、ストレスを感じる頻度も増大します。

感情は、起こった出来事から直接引き出されるのではなく、私たち自身がその出来事をどう受け止めるか、どう解釈するか、どう意味づけるかによって変わってきます。

たとえば、親が中学生の子どもに何かアドバイスしたとき、「うるせぇ!」と怒鳴られたとします。もし、
  • 「年少者にバカにされた」と受け止めれば、腹が立つでしょう。
  • 「大切な子どもに嫌われた」と受け止めれば、悲しくなるでしょう。
  • 「殺される」と思えば、怖くなるでしょう。
  • 「子どもを怒らせるなんて私は親失格だ」と受け止めれば、罪責感でいっぱいになるでしょう。
  • 「子どもは自分のことは自分でやりたいんだな。なかなか自立してきたじゃないか」と受け止めれば、頼もしい気持ちになるでしょう。
人から欠点や間違いを指摘されたとき、「バカにされた」「嫌われた」「捨てられる」「そんなことをするこの人はひどい奴だ」と解釈すれば、確かにそれは脅威でしょう。

しかし、別の解釈も成り立ちます。「成長を期待されている」「成長のチャンスだ」「言いにくいことを言ってくれるなんて、なんて愛情深い人だろう」。すると、うれしくはないにしても、怒りのあまり我を忘れるということは起こりにくいでしょう。

箴言の時代のユダヤ人は、先祖アブラハム、イサク、ヤコブと神さまとの契約により、一方的に祝福されることが約束されていました。それを信じるからこそ、いたずらに脅威を感じて、怒りによって人に接することをしなくて済むというわけです。

私たちクリスチャンも、イエスさまの十字架と復活によって罪赦され、神さまの子どもとされ、一方的に祝福をいただくことができるようになりました。もしも神さまが私たちの味方であるなら、これまで怒りによって反応していた出来事に対して、どんな解釈や意味づけをすることができるでしょうか?

表現方法を考えてみよう

受け止め方を冷静に見直してみて、それでもこちらに迷惑がかかっている、こちらの権利が侵害されている、これはどうしても相手の言動を改めてもらわないと困るという場合には、怒りを怒りのまま相手にぶつけるのではなく、表現方法を工夫してみましょう。

大切なことは、相手の言動を変えてもらうことです。別に攻撃的な言い方をする必要はありませんし、むしろ逆効果です。相手もこちらの攻撃によって「危険」を感じ、怒りで対抗するか、恐怖を感じて逃げ出すかして、結局肝心の言動は改まらないことになるからです。むしろ嫌がらせのために、ますますその困った言動がエスカレートするかもいしれません。

18節にも「軽率に話して人を剣で刺すような者がいる。しかし知恵のある人の舌は人をいやす」と書かれています。毅然と、しかし柔らかな言い方でお願いしてみましょう。

たとえば、
  • 「余計なお世話だ!」と怒鳴る代わりに、「私のことを気に掛けてくれてありがとう。でも、これは自分のやり方でやってみたいから、しばらく黙って見守っていてくれるとうれしいな」。
  • 「自分のことは棚に上げて、何様のつもりよ!」と逆ギレする代わりに、「やってしまったことは本当にごめんなさい。でも、怖いから怒鳴るのはやめて欲しい」。
  • 「うるさい!」と叱る代わりに、「電話でお話が聞こえないから、静かにしてちょうだい」。
相手が事実を誤解して非難してくる場合もあるでしょう。その場合は、事実を冷静に伝えることで正せばいいだけで、別に怒る必要はありません。

また、相手が悪意をもってこちらを引き下げようとする場合もあります。しかし、相手の悪意につきあって、こちらが心をかき乱されれば相手の思うつぼ。そんなことにつきあう義理はありません。「大切なことを教えてくれてありがとう。気をつけるね」と、にっこり笑って、さっさとその会話を終わらせてしまいましょう。

間を置こう

しかし、相手の指摘を謙遜に受け止め直し、表現方法を工夫することは、かなり精神的に余裕がなければ不可能です。

ですから、16節でこう言われています。「愚か者は自分の怒りをすぐ現す。利口な者ははずかしめを受けても黙っている」。怒りを感じた時、すぐに反応して、相手を攻撃するのではなく、落ち着くための間を取りなさいということです。

「間」というのは、まずは時間的な間。怒りを感じたら、心の中でゆっくり7つ数えてみましょう。

また、物理的な「間」。どうしても心に余裕が生まれないようなら、一時的にでもその場を離れ、相手との間に距離を取ってみましょう。

まとめ

神さまは怒ることがあります。神の子であるイエスさまも、怒りを表されたことが何度かあります。神さまに似せて作られた私たちも、怒る能力が与えられています。それを、自分や他の人を破壊するためにではなく、建設的なことのために使えるといいですね。いつも祈りながら、神さまに怒りを正しく用いる力を求めましょう。

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