絶望の中の希望

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創世記19章1〜38節

(2016.4.10)

参考資料

ソドムとゴモラは、死海の南にあったと考えられています(今は水没していると思われます)。ガリラヤ湖から死海に至るヨルダン川流域は、海抜よりも低い場所です。その両側に山地が走っています。

死海の西側の山地に、当時アブラハムが住んでいた(正確にはその近くで遊牧していた)ヘブロンがあります。東側の山地は、ロトがツォアルを出てから住むようになった山地です。後に、彼の子孫であるモアブ人とアモン人が住みました(モアブは南半分、アモンは北半分)。

聖書からのメッセージ

イントロ

いよいよソドムとゴモラが滅ぼされます。ここから、私たちはどんな悲劇の中にも希望を見いだすことができるという教訓をいただきましょう。

1.ソドムとゴモラの滅び

ソドムの現状

アブラハムのとりなしにより、創造主ヤハウェは、もし10人の正しい人がいればソドムを滅ぼさないと約束なさいました(前回の学びで取り上げました)。そして、2人の天使がソドムに到着します。

このとき、ロトは「門のところにすわって」いました。これは、ロトが町の長老になっていたことを示しています。かつて自分たちを外国の軍隊から救ってくれたアブラハムの甥だということで、よそ者ですが優遇されていたのでしょう。ただし、地位にふさわしい影響力はまったくないことが、今回の事件で露呈します(9節)。

ロトは、2人を家に泊めようとします。天使たちはロトを試して、自分たちは広場で野宿するからけっこうだと言いますが、そんなことをしたら町の人たちにひどい目に遭わされることを知っているロトは、彼らに泊まるよう強く勧めました。

案の定、町の男たちがたくさんやってきて、旅人たちを差し出せとロトに要求しました。「彼らをよく知りたい」というのは、性的な関係を求める婉曲表現です。すなわち、集団でレイプするというのです。しかも、同性愛です。

ソドムが、性的に堕落しきっていたことが分かります。なお、ソドムの町の名から、同性愛や幼児性愛、獣姦など不自然な性行動を指す、英語のソドミー(sodomy)という用語が作られました。

ロトは、必死になってそれを止めようとします。ロトは、かつては遊牧民でした。当時の旅は命がけでしたから、旅人をもてなすのは遊牧民の当然のマナーでした。そして、いったん自分の客になったなら、その人が旅立つまで守るのは、遊牧民の誇りでもあります。もう遊牧民をやめて、町の住民になってしまったロトでしたが、かつて持っていた誇りは失っていませんでした。

ところが、ロトは二人の娘を差し出すから、客を助けてくれと願います。客を守りたいというロトの思いは正しいものです。しかし、そのために、娘たちを身代わりにレイプさせるというのは、とんでもないことです。

ロトは、ソドムの罪深い現状に心を痛めていました。第2ペテロ2:7は彼のことを「義人ロト」と呼んでいます。しかし、人は触れたものに似ます。彼の中には、高潔で正しい部分だけでなく、ソドムの霊的雰囲気に染まっていた部分もあったのです。私たちも気をつけなければなりませんね。

いきり立つ町の人々によって、ロトが暴行のターゲットになろうとした時、天使たちが彼を助けてくれます。こうして、せっかくアブラハムがとりなしの祈りをしてくれたのに、町の中に10人も正しい人がいないということが判明してしまいました。ソドムの滅亡は確定です。

天使による救出

しかし、 天使たちはアブラハムの願いをくみ取って、ロトとその家族を助けようとします。そして、家の外に他の家族がいれば、一緒に町から連れ出せと言います。

娘たちをめとった婿たちが登場しますから、ロトには未婚の娘2人の他に、少なくとも結婚した娘が2人以上いたことが分かります。しかし、彼らは町が滅ぼされるという話を、笑い話としか受け取りませんでした。 この話をお読みください

そこで、天使は「今ここにいる4人だけでも逃げ出せ」と促しますが、ロトはぐずぐずしています。おそらく、結婚した娘たちや婿たちのことが心配だったのでしょう。

しかし、できることとできないことがあります。滅びが来るということと、救われる道があるということを伝えることは、ロトにできることであり、ロトがしなければならないことです。しかし、それを聞いた人が信じて行動するかどうかは、聞いた人が決めることであり、ロトにはどうしようもありません。

伝道も同じです。伝えること、しかも分かりやすく、謙遜な思いで伝えることは私たちの責任ですが、その人が信じるかどうかは私たちの責任ではありません。結果は、聖霊なる神さまにお任せしましょう。たとえ100回伝えて100回拒否されても、あなたが悪いわけではありません。

業を煮やした天使たちは、ロトたち4人の手を取って、強制的に町の外に引っ張っていきました。そのことを聖書は、「【主】の彼に対するあわれみによる」と表現しています。私たちもまた、創造主なる神さまの一方的なあわれみによって救っていただきました。私たちが正しくて立派だから救われたのではありません。そのことをいつも忘れず、感動と感謝を覚えていたいですね。

天使は山(死海の東に連なる山地)に逃げろと命じましたが、ロトは、とてもそこに到着することはできないと恐れて、近くの町に行かせてくれと願います。その町の名は、それまではベラと言いましたが(14:2)、ロトが語った「小さい」(ヘブル語でミツァール)という言葉から、ツォアルと呼ばれるようになりました。

天からの火

ロトたちがツォアルに着くと、いよいよさばきが実行されます。ロトと2人の娘たちは救い出されましたが、ロトの妻は、後ろを振り返るなと言われていたのに振り返ってしまいます。町での生活を惜しんで振り返ってしまったのでしょう。

イエスさまが、弟子候補生にこうおっしゃったことがあります。「だれでも、手を鋤につけてから、うしろを見る者は、神の国にふさわしくありません」(ルカ9:62)。「信じる前の方が、勝手気ままに生きられて良かったなぁ」と、後ろを振り返りたくなることがあるかもしれませんが、いったんイエスさまに従うと決めたのですから、イエスさまを見つめて、イエスさまが望まれる生き方を目指して歩んでいきましょう。もちろん、この点で失敗したとしても赦していただけますから、再び前を向いて歩いて行きましょう。

後日談

しばらくツォアルに住んだロトでしたが、まもなくそこを出てしまいます。理由は、「ツォアルに住むのを恐れたから」です。ツォアルも、ロトがそこに逃げ込む前は、滅びのリストに入っていました。ツォアルの人々も、ソドムやゴモラの人々と同じように邪悪な生き方をしていたということです。このままでは、またいつ滅ぼされるか分かったものではありません。ですからロトは恐れました。

こうして、ロトは山に向かいます。最初に天使が命じた通りです。ヤハウェのみこころに逆らっても、クリスチャンは赦していただけます。しかし、結局ヤハウェのおっしゃる通りになるのですから、できれば最初から従っておいた方が、時間やエネルギーの無駄になりませんね。

娘たちは、こんな所に住んでいたら、一生独身のままだと恐れます。この当時は、結婚して子どもを産むというのが、女性にとってはとても大切なこととしてとらえられていたのです。そこで、二人は父であるロトに酒を飲ませ、彼と交わって妊娠してしまいます。娘たちもまた、ソドムの霊的雰囲気の影響を受けていました。

姉娘が産んだモアブは、ヘブル語のメーアーブ(父によって)から名付けられました。妹娘が産んだベン・アミは、「私の民の子」という意味の名前です。この子どもたちから、モアブ人、アモン人が出てきます。

近親相姦の結果生まれたという事実を、息子の名前につけて記念する感覚がよく分かりませんが、名は体を表したようで、モアブ人やアモン人は、霊的にも性的にも堕落した民族となります。そして、神との契約の民イスラエル人(ユダヤ人)に姦淫の罪や偶像礼拝の罪を犯させる存在となります。

ソドムやゴモラが滅ぼされた痛ましい記事の中、ロトと娘たちだけでも助け出されたのは良かったと思っていたら、最後の最後にどんよりした気分にさせられますね。

しかし、聖書全体を見渡すとき、私たちは希望の光を見いだすことができます。

2.希望の光

モアブ人から出た有名人

ルツ記の主人公ルツは、ユダヤ人ではなく、ロトと姉娘の子孫モアブ人です。しかし、彼女は姑ナオミが信じていたイスラエルの神ヤハウェを信じるようになりました。そして、舅や夫が亡くなった後、ナオミに従ってイスラエルにやってきて、ボアズと再婚します。そして、ルツとボアズのひ孫が、あのダビデ王です。

さらに、ダビデ王の家系から、救い主イエスさまが誕生したのはよくご存じでしょう。

きよさの極致である救い主の家系に、ユダヤ人以外の民族の血を混じらせ、しかもそれが近親相姦の結果誕生したモアブ人だというのは、驚くべきことです。しかし、マタイ1章のイエスさまの系図には、ルツと母マリヤ以外に3人の女性が登場しますが、いずれもいわくつきの女性たちです。
  • タマルは、舅であるユダとの近親相姦の末に子どもを生みました。今回のロトの娘たちと似ていますね。
  • ラハブは、道徳的、霊的に堕落した民族として聖書が描いているカナン人であり、売春婦でした。
  • ウリヤの妻(バテ・シェバ)は、ダビデ王と姦通しました。
その家系に生まれたイエスさまは、ご自身は一度も罪を犯したことがありませんが、一般のユダヤ人たちから、罪人だと軽蔑されていた取税人や遊女たちと親しく交わり、彼らを慰め、励まし、神の国に招きました。

正義の神、さばきの神であるヤハウェは、同時に恵みの神、赦しの神です。あなたもまた、ヤハウェにこよなく愛されています。

ソドムそのものの復活

世の終わりにイエスさまが再臨なさり、エルサレムを中心とした王国(神の国、御国、千年王国)を建設なさいます。エゼキエル16:53-55には、そのときに、エルサレムだけでなく、ソドムも再建されると約束されています。

「わたしは彼女たちの繁栄を元どおりにする。ソドムとその娘たちの繁栄、サマリヤとその娘たちの繁栄、また彼女たちの中にいるあなたの繁栄を元どおりにする。それは、あなたが、あなた自身の恥を負い、あなたが彼女たちを慰めたときにしたすべての事によって、あなたが恥じるためである。あなたの姉妹たち、ソドムとその娘たちは、もとの所に帰り、サマリヤとその娘たちも、もとの所に帰り、あなたとあなたの娘たちも、もとの所に帰って来る」
  • 文中の「あなた」はエルサレム、すなわちユダヤの南王国を指します。「サマリヤ」は北王国です。
ソドムやゴモラの滅びの記事は、ヤハウェに逆らい続けて悔い改めない者に対するさばきが、いかに確かで厳しいかを教えています。その一方で、ヤハウェはロトと家族を救い出してくださいました。さらに、罪の結果生まれたモアブ人にも、またソドムの町そのものにも希望の光を見せてくださっています。

ソドムでさえ復活させることができるお方は、ロトの血が混じったイエス・キリストの血によって、あなたの罪を完全に聖め、あなたを子どもとして愛し、導いてくださっています。

この地上に生きていると、八方ふさがりでどうしようもない状況に陥ることもあるでしょう。しかし、私たちにはいつでも希望が残されています。

まとめ

絶望しそうになっても、絶望しきることなく、いつでもヤハウェの守りを信じて、「絶対大丈夫」と宣言しましょう。

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