つらくても失ってはならないもの

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創世記10章1〜23節

(2016.7.10)

参考資料

この時、ヨセフは28歳です(41:1と46より)。

1節の献酌官は、単に王にお酌をするだけでなく、様々なことに対する相談役でもありました。

2節のパロ(ファラオ)とは、日本の天皇、ローマのカイザルのような、エジプト王の称号です。

3節の侍従長は、ヨセフの主人だったポティファルです。彼は王の近衛隊長であると共に、監獄の管理も任されていました。

15節のヘブル人とは、イスラエル人、ユダヤ人と同義です。「川の向こうから来た人」という意味があり、主にユダヤ人が異教徒に自己紹介するときに用いました。

聖書からのメッセージ

イントロ

なかなか悪い状況が改善されないときの心構えを、何年も投獄されていたヨセフから学びましょう。

1.獄中でのヨセフ

高官の夢の解き明かし

パロ(エジプト王)に仕えていた献酌官長と調理官長が、パロの怒りを買うようなことをして、投獄されてしまいました。この2人は単なるお酌係と料理人ではなく、かなり地位の高い役人でしたから、牢獄の中でも特別な配慮が必要でした。そこで、牢獄の管理責任者だったポティファルは、ヨセフに2人の世話を任せました。

ヨセフは、ポティファルの妻に誘惑され、それを拒んだために憎まれ、セクハラの罪をねつ造されて、この牢獄に投獄されていました。ポティファルにとっては憎い相手のはずですが、ヨセフはポティファルの家でも、牢獄でも忠実に働いてすばらしい結果を残していましたから、ポティファルに「こいつに任せておけば、万事間違いがない」と信頼されていたのですね。

ある日、ヨセフは、献酌官長と調理官長の様子がいつもと違うことに気づき、声を掛けました。すると、2人ともいかにも意味がありそうな夢を見ましたが、意味を説き明かせずに不安な気持ちになっていたということが分かります。ヨセフはその夢の意味を解き明かしました。

それは、
  • 3日のうちに2人とも牢獄から出されてパロの前に引き出される。
  • そして、献酌官長は赦されて元の仕事に戻されるけれど、調理官長は死刑になる。
というものでした。そして、見事にその通りのことが起こったのです。

忘れられたヨセフ

解き明かしをした後、ヨセフは献酌官長に言いました。自分はさらわれてエジプトに来たこと、無実の罪で投獄されていること。そして、あなたが元の仕事に戻った際は、自分のことをパロに話して、牢を出られるようにして欲しいと願いました。

ところが、恩知らずにも、献酌官長はヨセフのことをすっかり忘れてしまいました。喜びのあまりなのか、最初は話そうと思っていたけれど、下手なタイミングで話すと、またパロの怒りを買って投獄されるかも知れないと恐れ、躊躇しているうちに忘れてしまったのか……。

こうして、ヨセフにとっては無為な2年間が過ぎていきました。

パロの夢の解き明かし

ところが、2年後、今度はパロが不思議な2つの夢を見ます(41:1-7)。

最初の夢は、ナイルから上がってきた肥えた7頭の牛を、痩せた7頭の牛が食べてしまう夢です。2つめの夢は、7つの肥えた穂を、7つのしなびた穂が飲み込んでしまう夢でした。どちらも不吉な感じがしますから、パロは不安になって、呪法師たちや学者たちに解き明かしを命じますが、だれも意味が分かりませんでした。

ここで、献酌官長がヨセフのことを思い出します。そして、パロにヨセフが自分の夢を解き明かし、その通りになったことを話しました。さっそくヨセフが呼び出され、夢を解き明かしました。

ヨセフは言いました。これから大豊作が7年間続いた後、7年間の大飢饉がやってくる。だから、誰か知恵ある人に権限を与えて、大豊作の間に食物を蓄え、飢饉に備えさせるようにと。

パロは、ヨセフこそその任務にふさわしい知恵者だと言いました。そして、王に次ぐ地位を与えて、飢饉に備えさせました。その結果、
  • 飢饉が来ても、エジプトには十分な穀物が蓄えられていましたから、餓死する者が出ませんでした。
  • 近隣の国々から食物を買いに来るようになり、エジプトの国庫を潤しました(47:14)。
  • エジプトの国民も、土地や自分自身と引き替えに食物を買ったので、エジプト全土がパロのものとなりました(47:20)。古代日本の公地公民制のような体制ができあがったということです。こうして、パロの政治的影響力がますます増大しました。
こうして、「アブラハムとその子孫を祝福する者は祝福される」というアブラハム契約の中の約束が実現しました。ポティファルの時と同様、ヨセフを重んじて大切にしたパロも大いに富み栄えることになり、パロが治めるエジプトの民も飢饉から救われました。

そして、食物を買いに来た外国人の中に、ヨセフの兄たちもいました。これがきっかけとなってヨセフは兄たちと和解し、エジプトにヤコブ一家を招いて再会することができます。

では、ここから、人生の低迷期にどんな心構えで生きていけばいいかを学びましょう。

2.低迷期の心構え

人に対する関心を失うな

つらい状況に置かれると、私たちは自分のことばかり考え、他の人に対する温かい関心を失ってしまいがちです。しかし、ヨセフはそうではありませんでした。彼は、献酌官長と調理官長の様子がいつもと違うことに、すぐに気づきました。それは、ヨセフが2人のことをいつも気に掛けていたからです。

その結果、ヨセフの道が開けました。人に温かい関心を示し、愛を実践する人に、道は開けます。そういう人のことを、周りの人も助けたいと思うし、誰よりもイエスさまが放っておかれません。

君は愛されるため生まれた」という賛美歌があります。その通り、私たちは神さまに愛されるために造られ、この地上に誕生しました。もちろんあなたもです。

と同時に、「君は愛するため生まれた」という側面もあります。神さまを愛し、人を愛するために私たちは造られました。愛されることだけ求めても、私たちは幸せを感じることができません。そういうふうに造られているからです。

自分のことで精一杯だという、そんなときこそ、ちょっと顔を上げて、苦しんでいる人、悲しんでいる人、寂しがっている人、迷っている人、助けを必要としている人に目をとめましょう。そして、今の自分にできるささやかな助けの手をさしのべましょう。

神との交わりを失うな

前回、ヨセフは天の神ヤハウェの命令に忠実に従おうとしたという話をしました。しかし、単に命令を守ったというだけではありません。ヨセフは、いつもヤハウェに関心を向け、交わりを深めようとしていました。

今回の箇所で、ヨセフは献酌官長と調理官長に、「それを解き明かすことは、神のなさることではありませんか。さあ、それを私に話してください」(8節)と語っています。ここには、自分ヨセフに話すことは、天の神ヤハウェに話すことと同じであるという確信が見られます。それだけ、自分とヤハウェとの関係が親密で、ヤハウェはいつも自分と共にいてくださると信じていたということです。

そう信じられるくらい、ヨセフは、ポティファルの家に奴隷として売られてからも、無実の罪で投獄されてからも、ずっとヤハウェへの礼拝を欠かさず、じっくりと祈る時間を持ってきたのでしょう。

ヨセフは、いつもヤハウェに心を向け、いつ何を語られてもいいように準備していました。ですから、ヤハウェが夢の解き明かしをしてくださったとき、それを敏感にキャッチして、献酌官長たちやパロに話すことができたのです。

問題がやってきたとき、私たちは助けてくださいとヤハウェに祈ります。もちろん、それは正しいことです。祈らないで、自分の力だけを頼みにがんばるより、ずっと素晴らしいことです。

しかし、もっと大切なことは、普段から父なる神さまとの交わり、イエスさまとの交わり、聖霊さまとの交わりをもっともっと深め、仲良くすることです。人間同士の関係でも、一方がしゃべるだけでは関係は深まりませんね。互いに相手の話に耳を傾けることが、関係を深めるためには絶対に必要です。私たちも、苦しいときこそ、静まって、神さまの語りかけに心の耳を傾けましょう。

神の時を待つ忍耐を失うな

ヨセフは、頼みにしていた献酌官長に裏切られて、2年間も放ったらかしにされてしまいました。ガッカリしてしまいますね。しかし、ヨセフにとっては意味のない無駄な2年間でしたが、全てを見通しておられるヤハウェにとっては、必要な2年間でした。

もし、献酌官長が、牢を出されてすぐにパロにヨセフの話をしたとしましょう。それでも、パロはヨセフに関心を示さなかっただろうと思われます。夢の解き明かしをする呪法師や学者は、エジプト中にたくさんいたからです。それに、囚人本人が自分は無実だといくら主張したとしても、そんなことを為政者が簡単に信じるわけにはいきません。

ですから、献酌官長が、すぐにヨセフの話をしたとしても、ヨセフは牢を出されなかった可能性が高いです。下手をすると、献酌官長はすでにパロにヨセフの話をし、関心を示されなかったわけですから、2年後にパロが夢を見たとき、ヨセフのことを思い出さない可能性もあります。そうなると、ヨセフがパロの夢を解き明かすことができないため、7年の豊作の間に飢饉の準備ができず、ヨセフも牢の中で餓死することになります。

たとえパロのあわれみによってすぐに釈放され、家族の元に帰れたとしても、やっぱり大飢饉のせいで家族共々餓死することになります。

2年後、7年間の大豊作が始まる直前のタイミングで、パロが不思議な夢を見、誰も解き明かしができないというシチュエーションがあって、初めてパロはヨセフに関心を持ってくれましたし、ヨセフが宰相となって飢饉に備えることもできました。この2年の何もない時間は、なくてはならないものだったのです。

もちろん、ヤハウェが全てを知り、全てをコントロールできるのなら、豊作と飢饉を2年間前倒しして、すぐにパロが夢を見るようにしたら良かったじゃないかという意見もあるでしょう。ただ、残念ながら世界はヨセフだけを中心に回っているわけではありません。ヤハウェは様々な理由(聖書には書かれていませんが)を勘案なさった上で、7年間の豊作と飢饉を2年後に起こされたのです。

世界は、あなたを中心に回っているわけではありませんから、全てがあなたの思い描くベストのタイミングで起こるわけではありません。苦しい状況から解放されるのに、何ヶ月も、何年も、場合によっては何十年も待たされることだってあるかもしれません。しかし、ヤハウェは、ヤハウェがお考えになるベストタイミングで必ず事を起こしてくださいます。神の時を信じて待つ忍耐力を、ヤハウェが与えてくださるよう、祈りましょう。

「ですから、あなたがたの確信を投げ捨ててはなりません。それは大きな報いをもたらすものなのです。あなたがたが神のみこころを行って、約束のものを手に入れるために必要なのは忍耐です」(ヘブル10:35-36)

まとめ

つらいときこそ、失ってはならないものを大切に守りましょう。

あなた自身への適用のためのディスカッションガイド


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