プリンをわしづかみ

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(2006.11.26)

華子さんは、すぐに切れて暴れるご主人に、文句も言わずに従ってきました。理不尽でヒステリックな性格のお姑さんにも黙って従っていました。そして、4人のお子さん全員が不登校になってしまいましたが、子どもたちのためにもあれこれと世話を焼いていました。

しかし、ある時、友だちを通じて教会に導かれ、クリスチャンになりました。イエスさまは、華子さんの幸せのために、いのちを捨ててくださいました。華子さんが子どもたちを愛し、幸せになってもらいたいと願っておられるように、天の父なる神さまも、華子さんのことを大切に思ってくださっています。だから、自分ももっと自分を大切にしようと、華子さんは決意しました。

そして、教会の人たちに励まされながら、自分を大切にするワークを始めました。まず取り組んだのは、プリンでした。今まで華子さんは、コンビニにお菓子を買いに行くとき、自分が大好物のプリンは買わず、子どもたちやご主人の好物だけ買って帰りました。そして、家族がおいしそうに食べているのを、惨めに眺めていたんだそうです。

しかし、今や華子さんは、真っ先にプリンをわしづかみにしてかごの中に入れます。そして、一緒についてきた子どもたちに「お前たち。欲しいものがあったら、自分でかごの中に入れなさい」と言うようにしたのです。

ある時、華子さんは、教会の演劇サークルに入りました。今までは、家族のためにだけ使っていた時間を、自分の楽しみのためにもたくさん使ってやることにしたのです。そして、クリスマスの日、みんなの前で聖誕劇(イエスさま誕生の場面を演じる劇)を演じることになり、華子さんも役をもらいました。

華子さんは、家族に「ぜひ見に来てちょうだい」とお願いしました。ご長男は、返事をしなかったそうです。しかし、当日、一番後ろで観ていてくれるのが、舞台から見えました。

家に帰ったとき、華子さんはご長男に「お母さん、どうだった?」と尋ねると、ご長男は「お袋! こういうの毎週無いのか? あんなに輝いて、うれしそうなお袋は、生まれて初めて見た」と言ったのです。

こうして、家族が変わり始めました。子どもたちは元気になっていきました。お母さんがつらそうだったら、死んでしまうんじゃないかと怖くて、子どもたちは学校に行けませんもの。むしろ、自分たちも自信が無くてつらいのに、お母さんを支えなきゃと思って、エネルギーを吸い取られてしまいますもの。

また、ご主人も優しくなっていきました。ご主人は本当は自信のない人でした。大声を出したりして、自分を強く見せようとしたのですね。しかし、華子さんが幸せになったとき、エネルギーがご主人の心の中に届き、ご主人は自信を回復していきました。

自分を大切にするということと、自己中心とは違います。神さまが自分を大切にしてくださるんだから、自分で自分を大切にするというのは、神さま中心の考え方です。

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