神さまって粋な方

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(2007.2.4)

岩井喜代仁さんは、元やくざの親分で、覚醒剤や麻薬を密輸し、売りさばいていました。しかし、自らも覚醒剤依存症となり、やくざの世界を追われてしまいました。

生活に困った岩井さんは、彼に薬の味を教えた元売人、近藤恒夫さんにお金を借りに行きます。すると、近藤さんはすっかり覚醒剤から手を洗い、それどころか、ダルクという団体を作って、薬物依存症者の回復を支援していました。こうして、岩井さんもダルクを通じて薬物依存症と闘うことを決意し、ダルクのスタッフとして働くことになりました。

実は、ダルクはキリスト教の神父さんが始めた働きが元になっていて、岩井さんもやがて「イエスさまによって、人は生まれ変わることができる」という聖書のメッセージを信じ、洗礼を受けることになります。

ダルクのスタッフとなった岩井さんは、結城市にある空き家に住み込み、送られてくる青年たちと一緒に生活を始めました。

かつて板場で働いたことがあるので、数十人分の食事を作るのはお手の物です。それに、やくざの親分をやっていたおかげで、たくさんの男の子たちと一緒に暮らすのも、全く苦になりません。

岩井さんは言いました。「俺、やくざをやったことが、こんなに役に立つなんて思わなかった」。

ある時、17歳の男の子が送られてきました。送られてきた日、彼はいろいろと岩井さんに食ってかかりました。岩井さんは叱りもせず、「分かった分かった。まあみんなと一緒に温泉でも行こうや」。ところが、この男の子、温泉から帰ってくると、やたら素直で従順になったのです。返事も「はいっ!」と、非常に礼儀正しくなりました。それは、温泉で岩井さんの背中に彫られた入れ墨を見たから……。

「神さまは、本当に粋な方。ダメな人生の象徴のような入れ墨さえも、用いてくださる」。岩井さんはそう言って笑います。

今、岩井さんは、薬物依存問題の第一人者として、多くの子どもたちを救う働きをしています。「大丈夫。人は生まれ変わることができる」。かつて神父さんに言ってもらったその言葉を、今度は岩井さんが、薬物に溺れて人生を見誤った人たちに語っています。

大丈夫。人は生まれ変われます。イエスさまは、あなたに新しいいのちを与えるために来られました。

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