膿と将軍

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(2011.1.16)

アメリカ南北戦争時代の話です。北軍の将軍が前線の視察に訪れました。激しい戦闘のために傷ついた兵士たちは、十分な医療施設の整わない野戦病院のテントに寝かされていました。

将軍は一つのベッドを見つめました。そこには若い兵士が寝かされていましたが、足の傷が膿んでしまい、それが大変痛むようでした。軍医や看護兵たちはもっと重傷の兵士たちの治療に奔走しており、その兵士は放っておかれたのでした。

将軍はその若い兵士の足の包帯をとると、ナイフで傷口を開き、そこに口をつけると、汚い膿を吸い出してやりました。おかげですっかり痛みが取れて楽になりました。

若い兵士は感激しました。偉い将軍が、こんな下っ端兵士の傷を心配してくれただけでなく、汚い膿まで吸い出してくださったのですから。そして、このことを故郷の母親に手紙で報告したのでした。

母親は、息子からの手紙を読むと涙を流しました。なぜ? 将軍の行為に感激したからではなく、「ああ、息子はもうすぐ戦死するだろう」と思ったからです。

彼女の夫、すなわちあの兵士の父親もまた、あの将軍の下で戦った兵士でした。そして、戦いで傷つき、息子と同じように将軍に膿を吸い出してもらったのです。父親は感激し、この将軍のためだったら命も惜しくないと妻に手紙を書きました。そして、その言葉通り、将軍の危機に際して命がけで戦い、ついに戦死したのでした。

人は愛されると、その人のために命さえ惜しくないと思うようです。私たちクリスチャンがイエスさまを愛し、またイエスさまが愛しておられる人々を愛するのは、まず私たちがイエスさまに命がけで愛してもらったからです。

クリスチャンとしての義務を考える前に、自分がどれだけイエスさまに愛されているか、それを考えましょう。

「私たちは愛しています。神がまず私たちを愛してくださったからです」(第1ヨハネ4:19)

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