せんべいとするめの旅

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(2011.5.15)

ある貧しい人が、一生に一度くらい豪華客船に乗りたいものだと思い、一生懸命仕事をして、ついに超一流客船の、しかも一等船室の切符を手に入れました。

ところが切符を買ったために、お金がろくに手元に残っていません。船内で食事は無理だと考えた彼は、港の売店で買ったせんべいをかじり、するめをしゃぶっていました。そうして、昼食時をやり過ごし、やがて夕食時となりました。

夕食もせんべいとするめで飢えをしのぐのかと思っていると、そこに分厚いステーキをワゴンに乗せたボーイが通り過ぎました。いいにおい! ああ、うまそうだ。あんなステーキが一口でも食べられたら……! 彼は意を決してボーイを追いかけ、そして懇願して言いました。

「お願いだから、僕にもステーキを食べさせてくれないか。代わりに、甲板掃除でも、皿洗いでも何でもするよ」。

するとそのボーイは怪訝そうな顔でその人を見つめました。

「お客様、お客様。切符をお買い求めになるときに、サービスの内容を確認なさらなかったのですか? このステーキも、そして船旅の間のすべての食事も、切符の料金の中に含まれております」。

あなたも、キリストによる救いとは、死んだ後天国に行くというだけのサービス内容だと思ってはいませんでしたか?

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