飛び込んだ王さま

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(2011.9.18)

宣教師が、南の国の王さまに伝道していました。王妃さまも王子さまたちも、主だった家臣たちも、皆キリストを信じたのに、王さまはまだ信じられないでいました。というのは、王さまは、イエス・キリストがなぜ十字架にかからなければならなかったのかが、どうしても分からないからでした。

「人を救うなら、天使にやらせればよい。私なら家来に命ずるぞよ」。宣教師は、「王さま、それが愛ってものでございます」。でも、どんなに口で説明しても分からないようです。

さて、ある日、王さまがワニ狩りを楽しむことになりました。王子さまや家来を伴って、王さまはワニのいる川へと出かけていきましたが、宣教師も同行を許されました。

川には大きなワニがうようよいます。ところが、王子さまの乗った舟が川の真中に来た時、王子さまが急に立ち上がったものですから、さあ大変。舟はぐらぐらと揺れて、王子さまは川へザブン! すぐにたくさんのワニたちが舟の方に向かってきました。

王さまは王子さまを助けようと、川に入ろうとしました。宣教師がそれを止めました。「離せ。息子が死んでしまう!」「いいえ。王さまが行く必要はありません。ご家来にやらせなさい」。「うるさい!」 王さまは宣教師の手を振り切って川へ飛び込みました。

宣教師は叫びました。「王さま! あれは王子さまではありません。人形です!」「なに?」 王さまが宣教師の指差す方を見ると、舟の中から本物の王子さまが顔を出して手を振りました。

川から上がってきた王さまの前に、宣教師はひざまずきました。「王さま、申し訳ありませんでした。しかし、王子さまがワニに殺されそうになったとき、王さまはご自分で王子さまを助けようとなさいました。それは、王子さまのことを大切に思っておられるからです。イエスさまも、世界中の人が罪におぼれているのを黙って見ておられず、ご自分で人の世に飛び込んで来られたのです」。

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