天国の大豪邸

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(2012.2.5)

伝道者の福沢満雄先生から伺った話です。先生が山形の教会で奉仕しておられた頃、新しい教会堂が建ったので、少し山の方にある部落にも足を延ばし、一軒一軒訪問しながら案内を配って歩かれました。

ある家に着きますと、江戸時代に建てられたと思われる大変なぼろ屋でした。入り口にはのれん代わりにむしろがかけてあり、それをかき分けて中に入ると、ほとんど日の光が射さない薄暗い土間。そこに裸電球が一つぼんやりと光っています。目を凝らすと、土間の奥の方に、おばさんが一人ござを引いてある上にうつむいて座っています。

「こんにちは。町の方から来ましたキリスト教会の牧師です。今度新しい会堂ができたので、ご案内に回らせていただいています」。福沢先生がそう声をかけると、おばさんが顔を上げました。そして「それはそれは、よく来てくださいました」と、にっこりとほほえみました。

その笑顔のなんと輝いていることか! 一瞬クリスチャンかなと思いましたが、事前の調査でその部落にクリスチャンはいないことが分かっています。あまりのことにひるみながらも、福沢先生は「少しお話しさせてください」と、奥へ進みました。

お茶と漬け物を勧められましたが、周りをハエがぶんぶんと編隊飛行をしています。それを振り払いつつ、福沢先生はキリストについての簡単な話と献堂式の案内をしました。その間も、おばさんは終始ニコニコとほほえんでいます。

その家を後にして次の家に向かう途中、福沢先生はさっきのおばさんの笑顔が目に焼き付いて離れませんでした。あんな今にも倒れてしまいそうな家で、ハエと共に暮らしているような状態なのに、どうしてあの人はあんなにニコニコと輝いているんだろうか……。あんまり気になったものですから、先生はもう一度その家の方を振り向いてみました。そして、「ああ、なるほど!」とつぶやきました。そのぼろ屋の裏手に、あと1週間もすれば完成するであろう、きんきらきんの大豪邸が建っていたのです。

イエスさまは弟子たちにおっしゃいました。

「わたしの父の家には、住まいがたくさんあります。もしなかったら、あなたがたに言っておいたでしょう。あなたがたのために、わたしは場所を備えに行くのです。わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたをわたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです」(ヨハネ14:2-3)

だからイエスさまは大工の家庭に生まれたのかどうかは知りませんが……。人間の建築家でも、10年も時間をかけたら大変な豪邸を建てることができるでしょう。イエスさまが約束なさってからもう2千年もたっています。あなたのためにどれだけの大豪邸が用意されていることでしょうか。それを思ったら、あのおばさんのように、いやそれ以上ににやにやと笑いがこみ上げてこないでしょうか。

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