スクールソーシャルワーカーだより

問題行動をやめさせるには その2

子ども(子どもだけではありませんが)の困った行動をやめさせ、望ましい行動をとるようにさせるにはどうしたらいいか。今回はその第2回目です。

「わかる」と「かわる」は違う

前回、お子さんが困った行動をしたときに、「そんなことをしてはダメ」と言う代わりに、して欲しいことを伝えましょうという話をしました。ところが、そういう伝え方をして、子どもが納得してくれたとしても、なかなか態度や行動が改まらないということもあります。

 

「わかる」と「かわる」は、字面は似ていますが、違うものです。自転車や車の運転にしても、スキーや水泳にしても、やり方をテキストで学ぶだけでは実際に行なうことはできません。実際にできるようになるには練習が必要です。それと同じように、お子さんが新しい態度や行動を身につけられないのは、やる気がないからではなく、単に練習が必要なだけかもしれません。

 

一緒に練習しよう

とはいえ、「何度も練習しておくように」では、結局練習もしないまま終わります。なぜなら、どうやって練習していいかも分からないからです。

 

旧日本海軍の山本五十六元帥は、部下を育てることについてこんな歌を残しています。「してみせて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」。

 

ですから、子どもたちを導く際も、周りの大人がまずやって見せる。そして、今度は相手に本番と同じように行動させながら、少しずつ修正していく。そうやって、「自分にもできる」という自信をつけさせていくことが大切です。

友だちを誘えない子のケース

田中さんの、小学4年生のお嬢さん、泉ちゃんは、仲間はずれにされると悩んでいました。休み時間や放課後、他の女の子たちは友だちと仲良く遊んでいるのに、誰も自分には声をかけてくれないというのです。

 

田中さんは、最初、これはいじめではないかと驚きましたが、泉ちゃんの話をよく聞いてみると、泉ちゃんはかなり引っ込み思案で、泉ちゃんの方から友だちに声をかけることは決してなく、ただ向こうから誘いに来るのを待つだけだと分かりました。しかも、せっかく友だちが遊びに誘ってくれても、すぐに「じゃあ、一緒に遊ぼう」と返事しないで、もじもじしているようです。そこで、友だちも誘ってくれなくなったんじゃないか……田中さんはそう感じました。

 

担任の先生を通して、友だちにもっと積極的に遊びに誘って欲しいとお願いしてもいいでしょうが、それではいつまでたっても泉ちゃんは引っ込み思案なまま、依存的なままです。

 

しかし、ここで「もじもじしてはっきり返事をしないあなたが悪いんでしょう」とか「誘われるのを待ってないで、あなたの方から声をかけなさいよ」と言っては、かえって泉ちゃんの自信をくじいてしまい、ますます引っ込み思案にさせてしまいます。そもそも、「はっきり返事をしろ」とか、「あなたの方から声をかけろ」とか言われても、具体的にどういうセリフを言えばいいのか、経験のない泉ちゃんには思いつかないのです。

 

友達役になってロールプレイ

そこで、田中さんは、泉ちゃんの練習台になってあげることにしました。

  • 最初は、友だちが誘ったときに、どんなふうに返事をするのか、泉ちゃんと一緒にセリフを考えました。
  • そして、今度は、友だちから誘われた場面について、田中さんが泉ちゃん役になって、セリフを言って見せました。
  • それから今度は、田中さんがお友だち役になって、泉ちゃんに何度も練習してもらいました。
  • 泉ちゃんの方から誘う場面についても、同様にセリフを考え、一緒に練習しました。

こういう練習法を、ロールプレイと言います。

 

すると、翌日の放課後、泉ちゃんは自分から友だちと一緒に遊ぶ約束を取り付けました。それが自信になったのでしょう。それから、ずいぶんと積極的になったということです。

できないことを責める前に、一緒に練習

部屋の片付け、翌日の教科書などの準備、家の手伝い、読書、宿題、洗面所の後始末、友だちとトラブったときの対処法など、子どもに身につけてもらいたいことは山のようにありますね。そして、それを「やれ」と言うだけでは身につかないこともたくさんあります。親としては困りますよね。

 

しかし、お子さんは、あなたを困らせたいのではなく、やり方が分かっていないだけなのかもしれません。困っているのは、お子さんの方だということです。ですから、こちらの願い通りのことができないお子さんを責める前に、まずあなたがやって見せ、一緒に練習してみてください。

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