スクールソーシャルワーカーだより

魔法の質問

前回、無条件のプラスのストローク(お子さんがうれしいと感じるような刺激を条件なしに与えること)が、お子さんに生きる力を与えるという話をさせていただきました。すると、さっそく実践してくださった親御さんがたくさんいらっしゃったようです。すばらしいですね。

 

そして、一人のお母さんから、こんな相談を受けました(本人の許可を得て書かせていただきます)。

これまで、子どもに対してガミガミと関わってきたせいか、子どもとの関係があまり良くありません。
おたよりを読んで、プラスのストロークをあげなきゃと思うのですが、ついまたガミガミと……。
ホントに私ってダメな母親ですね……。

 

うまくいっていることは何?

自信を失って、すっかり意気消沈しておられるお母さんに、私はこんなふうに質問しました。

 

「お子さんとの関係で、うまくいっていることは何ですか?」

 

最初は「何もない」とおっしゃっていたお母さんでしたが、「お子さんとの関わりで、お母さんがうれしいなと感じるようなお子さんの言動、何かありませんか?」と、しつこく私が尋ねるものですから、しばらく考えた後で、ついにこうおっしゃいました。「そうですね。私が作ったものは、残さずおいしそうに食べてくれます」。

 

「そうですか。おいしそうに残さず食べてもらえると、作りがいがありますものね。それはうれしいですね」。私がそう申し上げると、お母さん、ぽろぽろと涙を流されました。お子さんとの関係がまったく断絶しているわけではないということが分かり、安心されたと同時に、食事を残さずおいしそうに食べてくれて、作りがいを与えてくれているお子さんに対して、感動と感謝の思いがわき上がってきたからです。

 

そして、お子さんに対して、もっと感謝の言葉や、うれしいと感じることを伝えようという思いになって帰られました。

 

もしも私が、「お子さんとの関わりで、どこがまずいと思いますか?」などと質問すれば、もしかしたら、ますます自信を失い、お子さんに関わるエネルギーを損ねてしまったかもしれません。

リード

カウンセリングやマネジメントなどで、人の相談に乗る人が使う「質問」のことを「リード」と呼ぶことがあります。それは、質問をうまく使うと会話を導く(リードする)ことができるからです。

 

たとえば、家族との関係について悩んでいるお子さんが相談に来たとします。「お父さんとの関係はどう?」と質問すれば、お父さんとの関係の話になります。「お母さんについてどう思う?」と尋ねれば、お母さんとの関係の話になります。そして、「ペットは飼っていますか?」と聞けば、ペットの話になりますね。質問には、会話の流れをリードする力があります。

 

ですから、質問を上手に使うことができれば、悩んだり落ち込んだりしている人を、問題解決の方向、自信を手に入れる方向、やる気や元気の方向に導いていくことができます。

 

うまくいっていることを尋ねてみる

悩んだり落ち込んだりしている人がいると、私たちはつい「何を悩んでいるの?」「困っていることは何?」と、問題に焦点を合わせて質問したくなります。それはまったく悪くありません。でも、それとはまた違う、プラス面に焦点を合わせた質問の仕方も知っていると便利です。

 

こんな質問をしてみてはどうでしょうか?

「うまくいっていることは何?」
「うまくやれたなあって思うところはどこ?」
「特に工夫したところはどこ?」
「特にどういったところを努力したの?」

 

そして、その質問の答えを聞いたら、

「どうしてうまくいったの?」
「どうしてそんなすごいことができたの?」

 

自分自身に対しても

ご自分に対しても尋ねてみましょう。「うまくいっていることは何?」

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