スクールソーシャルワーカーだより

やる気を引き出す方法

先日、ある高校の先生方と歓談していたとき、どうやって子どもたちの「やる気」を引き出したらいいかという話になりました。やる気を引き出すというのは、家庭でも、学校でも、企業でも永遠のテーマですね。

 

私自身、他人のやる気を簡単に引き出す魔法のような方法を知っているわけではありませんが、今回はそのためのヒントをお話ししてみたいと思います。

みんなに金メダル

私が小学校2年生の時、西ドイツ(当時)でミュンヘンオリンピックが開催されました。だからだったんだと思いますが、担任のO先生が、クラスの児童24人全員に金メダルをくれました。その金メダルには、

 

「足が速いで賞」 「お掃除をきちんとするで賞」 「友だちに優しいで賞」 「漢字博士で賞」
「計算が正確で賞」 「力持ちで賞」 「朗読が上手で賞」 「色使いがきれいで賞」
「潜りの天才で賞」 「おしゃれで賞」 「工作名人で賞」 「お手伝い大好きで賞」
「花屋さんで賞」 「元気なあいさつで賞」 「漫才師で賞」 「手を挙げるで賞」

 

など、一人一人の持ち味、得意とすること、たとえ結果が伴っていなくても好きなこと、目立たないけれどしっかり取り組んでいることが書かれていました。

 

O先生は一人の児童を教壇に立たせ、その子のメダルに書いてある賞の名前とその意味を発表して、「Aさんは、こういうことが得意です。それをやっているとき、Aさんはとてもうれしそうで生き生きしていて、先生もそれを見ていてとてもうれしいです。みんなもそう思うでしょう? だから、拍手しましょう!」 みんなが拍手し、「見よ、勇者は帰りぬ」(表彰の時に流れるあの曲です)を口ずさむ中、金メダルが授与されました。こうして、全員が前に呼ばれ、金メダルを授与され、みんなに祝福されました。

 

私がもらったのは、「本が大好きで賞」でした。ものすごくうれしくて、誇らしかったことを覚えています。それからますます本が好きになり、学研の「学習」「科学」という子ども向け雑誌の、保護者宛のページまで目を通すようになりました。おかげで、いろんな言葉を覚えました(かなりませた子どもになりましたが)。

 

O先生は決して甘いだけの教師ではなく、みんなたくさん叱られもしましたけれど、今から振り返っても、あの2年生の時のクラスは活気に満ちていました。そして、どの子もやる気に満ちていました。認められた金メダルの持ち味だけでなく、自分にとって不得意なはずの他の活動(私の場合は運動でした)についても、積極的に取り組んでいました。40年も前の時代ですから、いろいろ競争させられ、勝ったり負けたりもしましたけれど、負けてもやる気を失ったりしませんでした。それは、O先生が何かにつけて私たちの良いところ、持ち味、可能性を見つけて、それを具体的に指摘し、自信を与えてくださったからです。

プラスの部分に目をとめる

やる気を生み出す原動力は、自尊心です。他者と比較して、自分の方が優れているということを示すことで保たれる、傲慢で薄っぺらな自尊心ではなく、無条件に自分の価値と可能性を信じられる健全な自尊心です。

 

自尊心のある人は、どんな困難にぶつかっても、「大丈夫。何とかなる」「自分は必ずやり遂げることができる」「たとえ失敗しても、そこからたくさんのことを学ぶことができる」と思えます。だから、いろんな事に積極的にチャレンジします。自信の無い人は、失敗して自信をさらに失うのはいやですから、失敗しない最も確実な方法、すなわち何もしない道を選ぶのです。

 

子どもたちは独りでに自信を持ったりはできません。回りの大人たちがその子の持ち味に目をとめ、具体的に指摘し、それに感動し、喜ぶことで、はじめて自分はOKなのだと知り、自信を持つことができます。しかも、普通の大人だったら認めたりほめたりしないようなところを指摘され、感動されれば、それは大きな自信につながり、やる気を引き出すことでしょう。

 

アメリカの実業家だったデール・カーネギーも、こんなことを言っています。

 

家族や友人や同僚のやる気を起こさせる唯一の方法は、協力したいと思わせることだ。そして、感謝して正当に評価することと、心から励ますことなのである。

 

今年もオリンピックイヤー。お子さんの金メダルは、何ですか? たくさん見つけてあげましょう。

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