スクールソーシャルワーカーだより

失敗力 その1

もしかしたら、皆さんの職場などに、言われたことしかやらない、自分から進んで何かをやろうとはしない、仕事でも人間関係でも受動的・消極的・閉鎖的だという人がいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちは大切な子どもたちに、そのようなうつむき加減の生き方でなく、物事に積極的に取り組んでいけるような、そして価値あることを自ら創造していけるような、そんな主体性や積極性を身につけてもらいたいと思いますね。

 

そのために、子ども時代にぜひ身につけさせたい力が、「失敗力」、すなわち「失敗を恐れずチャレンジし、たとえ失敗しても、その後の生き方、やり方に上手に生かすことができる力」です。

失敗を必要以上に恐れると

勉強でも、クラブ活動でも、仕事でも、人間関係でも、失敗するというのは残念なことであり、痛いことです。失敗した本人は、とても嫌な思いを味わうことになります。

 

しかし、それがつらいから、今後一切失敗したくないと思うなら、新しいことには一切チャレンジできなくなってしまいます。失敗しない最もいい対策は、何もしないことですから。

 

受動的・消極的・閉鎖的な生き方をしている人の多くは、失敗を恐れて安全を求めるあまり、何もできなくなっている状態です。

 

失敗はしないに越したことはありません。ですから、事前に十分考え、準備して事に当たることは必要です。

 

しかし、それでも人間は完璧ではありませんし、他人や状況との関わり次第で、結果がどう転ぶかは完全には予測できません。残念ながらうまくいかないということもあり得ます。

 

そんなとき「残念だった。ちぇっ」で終わらせてしまうのか、失敗を「よい学習のチャンス」ととらえて、そこから知恵や励ましを受け取るのか、そこが積極的な人生か消極的な人生かの分かれ道です。

 

発明王エジソンは、電球を作ろうとしてうまくいかず、何百個も試作品を作っては失敗していました。新聞がそれを揶揄した時、彼はすましてこう答えました。「私は千回失敗したんじゃない。こうやったら電球はできないという方法を、千通り学んで知っているということだ」と。

 

彼もまた、失敗を学習ととらえて、そこから次のアイディアを生み出す知恵を引き出した、失敗力に満ちた人でした。

 

親の見方が伝染する

エジソンにはどうやら発達障害があったようで、学校でTPOをわきまえた行動ができず、結局退学させられます。しかし、お母さんは「あなたはダメ人間じゃない。力のある人間だ」と言い続け、励ましました。

 

「失敗は自分がダメという証拠ではなく、良い学習をしたということだ」ととらえるエジソンの失敗力は、お母さんから伝染したものだったのですね。

失敗とは

私たちは、子どもや他の人が失敗した時、その失敗をどのように解釈し、評価してきたでしょうか。子どもが失敗した時、そのことを責めるばかりでなく、むしろチャレンジできたことをほめ、その失敗から多くを学べるような導きをしてやれる、そんな大人でありたいですね。

 

そのためには、自分自身の失敗を前向きにとらえ直す力を養う必要があります。参考までに、 ロバート・H・シュラー著「あなたは思いどおりの人になれる」(産業能率大学出版部)に書かれている、失敗についての解釈を紹介します。

 

失敗は、あなたが失敗者であることを意味しない。
それが意味しているのは、あなたはまだ成功していなかった、ということである。

 

失敗は、あなたがなにもなしとげなかったことを意味しない。
それが意味しているのは、あなたが何かを学んだ、ということである。

 

失敗は、あなたが愚か者だったことを意味しない。
それが意味しているのは、あなたは大きな信念を持っていた、ということである。

 

失敗は、あなたが恥をかいたことを意味しない。
それが意味しているのは、あなたがすすんで試みた、ということである。

 

失敗は、あなたにはそれが不似合いだということを意味しない。
それが意味しているのは、あなたはもっとちがった方法でなにかをしなければならない、ということである。

 

失敗は、あなたが劣っていることを意味しない。
それが意味しているのは、あなたは完全ではなかった、ということである。

 

失敗は、あなたの人生を浪費したことを意味しない。
それが意味しているのは、あなたには改めて出発しなおす理由がある、ということである。

 

失敗は、あなたはあきらめるべきだということを意味しない。
それが意味しているのは、あなたはより一生懸命努力すべきだ、ということである。

 

失敗は、それが完成できないことを意味しない。
それが意味しているのは、それにはもうすこし長い時間がかかるだろう、ということである。

 

失敗は、神があなたを見捨てたもうたことを意味しない。
それが意味しているのは、神はもっとよい考えをお持ちだ、ということである!

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