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福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

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一人で問題に立ち向かう力


2014年2月号
テストの成績が悪かった、部活動のレギュラーに入れなかった、試合に負けた、仲間はずれになった、失恋したなど、子どもたちはいろいろな問題に巻き込まれます。子どもにとってはつらい経験ですね。

そんなとき、周りの大人が子どもに代わって問題を解決してやること、あるいは最初から問題に遭わないように転ばぬ先の杖をつくことは、愛情のなせるワザのように見えます。しかし、実は長い目で見れば子どものためになりません。

問題をすべて取り除くことはできない

私たち大人は、その子を一生つきっきりで守ってやることはできません。それに、たいていの場合、私たち大人の方がその子より先に死にます。遅かれ早かれ、その子は社会の荒波の中に一人で漕ぎ出なければなりません。

人生から問題が全くなくなることなどあり得ません。いつも自分の思い通りに他人や物事が動いてくれるわけでもありません。ですから、必ずその子は様々な苦労に巻き込まれることになるでしょう。もしもその時、その子に「問題に一人で立ち向かい、処理する力」が育っていなかったら、どんなにひどい挫折を味わうことになるでしょうか。

現在、景気の問題とは別に、意欲の問題で就職できない若者たち、就職してもすぐにいやになって辞めてしまう若者たち、社会や家庭のルールや常識を守れない若者たち、すぐに他人や社会のせいにして自分の責任から逃避する依存的な若者たちが増えています。おそらく温室育ちで、問題に立ち向かう力や自分で責任を全うする力を十分養ってこなかったのでしょう。大切な子どもたちを、そんなひ弱で無責任な大人に育てるのは、私たちの本意ではありませんね?

そういうわけで、私たちは子どもたちから問題を取り除いてやることばかり考えるのではなく、来たるべき自立の時に備え、「自分自身で問題に立ち向かい、これを処理する力」を育てることに力を尽くさなければなりません。

問題に立ち向かう力を育てるには

いくら自分で問題に対処する力を養うことが大切といっても、今の時点でまるっきり放り出し、一人で考えさせるというのは無茶でしょう。以前も紹介しましたが、旧日本海軍の山本五十六元帥が、部下を育てることについてこんな歌を残しています。
してみせて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ
最初は、自分がモデルになり、少しずつ子どもに実践させながら、次第に手を引いていくというのがポイントです。その際、ちょっとでもうまくいったところは、心からほめてやりましょう。

問題対処能力を養う第一歩は、子どもの中の「大丈夫感覚を育てる」ということです。大丈夫感覚を持っているというのは、どんな状況に置かれても、またどんな問題に巻き込まれても、「確かにつらいけれど、まあ何とか乗り越えられるだろう。最終的には何とかなるだろう。だから大丈夫!」と感じられるということです。それがあって初めて、「じゃあ、具体的にどのように対処しようか」という考え方をすることができるようになります。

私たち大人が大丈夫でいる

子どもが問題に巻き込まれて慌てふためいているとき、周りの大人が同じように不安がったり焦ったりすれば、その不安や焦りが伝染して、ますます大丈夫だとは思えなくなるでしょう。

ですから、まずあなた自身が深呼吸して、「大丈夫。何とかなる」と自分自身に宣言してみましょう。どうして大丈夫なのかは、後で考えればいいので、まずはそう口にします。

そもそも、子どもが問題に巻き込まれたというのは、その子が問題対応能力を磨き、自立に近づくいいチャンスがやってきたということなのですから、むしろ喜びを感じてもいい出来事なのです。

それから、「それは残念だったね」「それはつらいよね」と、子どもの気持ちを共感しましょう。そして、子どもにも「でも、大丈夫。これからどうしたらいいか考えよう」とにっこり笑ってやります。それで子どもの気持ちは少しだけ楽になるでしょう。すなわち、大丈夫感覚に一歩近づきます。

不完全でも考えさせ、やらせてみる

そして、「どうなったらとりあえず満足か」を子どもに考えさせます。一応のゴールの設定ですね。そして、「そのゴールに近づくために、これから自分自身がどんなふうに対処したらいいだろうか」ということを、子どもと一緒に考えます。

最初は一人では考えつかないでしょうから、ヒントを上手に与えてやることはかまいませんが、あなたが全部代わりに考えたりしないようにすることが大切です。そして、出てきた答えは、あなたの目から見れば稚拙で不完全かもしれませんが、対処を自分で考えたということ自体がすばらしいので、まずはそこをほめてやりましょう。そして、やってみるよう励まします。

うまくいけば、自分で問題を解決できたことをほめてやります。うまくいかなかったら、どうしてうまくいかなかったのだろうかということを一緒に分析します。これも、たとえ不完全でも自分で考えさせます。

その子が18歳になったとき、問題対応能力が十分に育っているような状態にする。これが私たち大人の使命です。それを目指して、今目の前の問題を上手に教材として活用してやりましょう。

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増田泰司(ますだたいじ)

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