スクールソーシャルワーカーだより

実のある会議・話し合いの持ち方

私の家内は介護の仕事をしていて、来月行なわれる介護福祉士の資格試験に向けて猛勉強中です。先日、「カンファレンス」(対応検討会議)についての話題を振られたため、私もスクールソーシャルワーカーの研修で勉強したことについて、いろいろ話をしました。

カンファレンスとは

カンファレンスというのは、「担当者が集まって、利用者さんへのそれぞれの対応を話し合う会議」のことです。大病院を舞台にした医療ドラマなどで、治療前にいろいろな科の医師や看護師などが集まって、会議を開く場面が出てきますね。あれもカンファレンスです。

 

医療カンファレンスでは、まず患者さんの症状を確認し、それを引き起こしている原因を見立てます。そして、その原因に基づいた治療方針が決定されます。こういった会議が、福祉の現場でもよく行なわれているのです。もちろん、学校や家庭や職場や地域など、様々な集団で応用できます。

 

情報収集

医療カンファレンスでは、会議の前に、問診、触診や検査などにより、患者さんがどんな苦しみや問題を抱えているかをつぶさに調べ上げます。この情報収集が不十分だと、正しい診断が下せませんから、実際の治療も間違ったものになるでしょう。

 

学齢期の子どもたちが抱える問題でも、同じように「学校を休みがちである」という問題を抱えていたとしても、その背景は人によって様々です。いじめられている、コミュニケーション力が未発達で友だちの中で浮いている、発達のアンバランスさのせいで授業について行けない、ネットゲームにはまって昼間は眠い、軽度のうつ病である、親に虐待されている、家が経済的な不安を抱えている、小さい時から叱られてばかりで自信喪失している、などなど……。

 

背景が異なれば、欠席が続く原因も異なり、原因が異なれば、その子や家庭への対応も自ずと違ってきますね。ですから、まずはできるだけ客観的に当事者の置かれている環境や内面を調査します。

 

家でお子さんの悩みを聞いたり、お子さんが抱えている問題について話し合ったりする時も、すぐに「これは大変だ!」と感情的になったり、お子さんの話だけから(あるいは特定の人の話だけから)「これは○○が原因に違いない」と決めつけたりしないで、いったん冷静になり、学校その他と連携しながら十分な情報集めを心がけるといいでしょう。

 

見立て(アセスメント)

次に、客観的な証拠を元に、「こういう原因、あるいは誘因によって、こういう問題が生じているのではないか」という仮説を立てます。その際大切なのは、勘と経験に基づいて「こういう原因に違いない」と決めつけないということ。必ず、客観的な証拠に基づいて見立てをするということです。

 

そして、関係者一同と見立てを共有します。家族間で、あるいは家庭と学校との間で見立てにズレがあれば、対応がばらばらになります。そうすると、関わられる子どもは混乱するばかりですし、十分な効果も見込めません。親子で、夫婦で、担任その他の関係者たちと、充分に話し合いましょう。

対応計画

問題が生じるカラクリを見立てたら、それに基づいて対応計画を立てます。見立てをするだけでは意味がありません。

 

たとえば、「この子が学校に来たがらないのは、授業について行けないからだ。それは、発達上のアンバランスさによって、一斉指導では教師の説明や指示が十分理解できないからだ。この見解は、本人の訴えや療育センターの診断結果からも裏付けられる」というような見立てをしたとします。しかし、それだけでは何も変わりません。

 

誰が、誰に、何を、いつまでに

見立てに基づいて、関係者一人一人について、「誰が、誰に、何を、いつまでに」行なうかを決定します。「誰が、誰に、何を、いつまでに」を明確にすることがとても重要です。そうでない計画は、結局誰も何もしないことになるでしょう。自分以外の誰かがやるだろうと思ったり、忙しさにかまけて、つい後回しにされたりするのです。すると、結局何も変わらないことに。そういう話し合いは時間とエネルギーの無駄ですね。

 

評価と再計画

会議や話し合いで決定した計画は、必ず実行したかどうか振り返り、効果を評価しなければなりません。当初の計画通りの結果が出ていればそれでよしですが、もし思うような結果になっていなければ、情報収集や見立てをやり直し、計画を修正しなければなりません。

 

これは、お子さんの問題についての家族の中でのちょっとした話し合いや、個人が立てる計画についても同じです。皆さんも、この一年を振り返り、年初に立てた計画や、お子さんについて決心した対応を評価し、来年に向けて再計画を立ててみませんか?

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