スクールソーシャルワーカーだより

ネット・リテラシーの高い子どもに

先日、高校生を対象とした総務省の調査で、「長時間インターネット(メール、LINE、Twitter、Facebook、2ch、ネットサーフィンなど)をしている人ほど、ネット・リテラシーが低い」という結果が出ました。今回は、これについてお話しします。

 

ネット・リテラシーとは

リテラシー(英literacy)とは、「書き言葉を正しく読み書きできる能力」(すなわち識字能力)を指しています。日本では、「表現されたものを適切に理解・解釈・分析・記述し、改めて表現する能力」という意味の言葉として用いられ、内容によってメディア・リテラシー、医療リテラシー、金融リテラシーなど、様々な派生語が作られました。

 

ネット・リテラシー(あるいはインターネット・リテラシー)と言った場合、「インターネット上の情報を正しく理解したり利用したりできる能力」ということになります。インターネット上には膨大な情報が飛び交っており、中には有用な情報もたくさんあります。そこで、うまく使いこなすことができるなら、インターネットは非常に便利な環境です。

 

しかし、ネット上には、

  • 詐欺、性犯罪、危険薬物販売などの犯罪を目的として流される嘘
  • 誤解や偏見などに基づく不正確な噂
  • 事実ではない(あるいは事実確認が不十分な)誹謗中傷

など、正しくない情報や危険な情報も大量に飛び交っています。ですから、それを賢く見分ける力が必要です。

 

嘘やデマの例1

私のメールフォルダには、迷惑メール防止フィルタをすり抜けて、「2万円の元手で、5日で100万円儲かる教材」だの、「郡山市在住の28歳の専業主婦ですが、夫が海外出張で不在なので会いませんか?」だのいう怪しい内容のメールが毎日大量に届きます。

 

これを読んでいらっしゃる皆さんはそういうメールに引っかかって、実践しても全然儲からないような高額教材を買わされたり、美人局にあったりするようなことはないでしょうが、ネット・リテラシーが低い人は、要するにネット上の情報を簡単に信じ、それに振り回されるということですから、すぐにネット犯罪に巻き込まれますし、デマを信じて右往左往したり、ネット上のやりとりに傷ついたり傷つけたりしやすいということです。大切な子どもたちをそんな目には遭わせたくないですね。

 

嘘やデマの例2

東日本大震災が起こった直後、ネット上には様々なデマ情報が飛び交い、それが被災者をより不安にさせたり、救助活動や復旧活動の邪魔をしたりしました。たとえば、自衛隊員の家族からの情報ということで、「自衛隊が全国から支援物資を募集しているが、各県庁がその受取窓口になっている。支援物資がとにかく不足しているから、この情報をできるだけたくさんの人の目に触れさせて欲しい」という依頼文が出回りました。しかし、自衛隊がそのような募集をした事実はありませんし、福島県庁もこの情報を否定し、むしろ混乱するから勝手に送ってこないで欲しいとアナウンスしました。

 

ところが、この依頼を単純に信じた人たちが、TwitterやFacebookで一気に拡散させてしまったため、被災各県の県庁は全国から大量に送られてきた支援物資の山に埋もれ、その仕分けや処分(現場では必要としていない物資や腐りやすい物資も多かったとか)に貴重なマンパワーを割かざるを得ず、かえって復旧の妨げになったのです。リテラシーの低い人は、自分が被害に遭いやすいだけでなく、(たとえ悪意がなくても)他の人にも迷惑をかけてしまいがちです。

 

ネット利用時間とリテラシーの関係

今回の調査では、ネット利用時間が長い高校生ほど、ネット・リテラシーが低いという結果が出ました。長時間ネットにはまっている子は、それだけネットへの依存度が高かったり、ネットに横たわる危険に対して警戒心が低かったりするからでしょう。ネットに長時間はまれば、当然学力も下がりますし、心身の健康にもよくありませんし、リアルな家族関係や友人関係にも悪影響を与えます。しかも、いったんネットにはまり込んで依存状態になると、そこから抜け出させるのは大変です。

 

ですから、7月号でもお話ししましたが、今のうちにご家庭で子どもたちとよく話し合い、ネット(やゲーム)の利用時間を制限しましょう。そして、インターネット上に存在する危険について家族みんなで学び、犯罪やトラブルを回避するためにはどうしたらいいか、嘘やデマの情報に振り回されないために必要な心構えは何かというようなことを話し合いましょう

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