本文へスキップ

福島県大玉村 スクールソーシャルワーカーだより

電話でのお問い合わせはTEL.080-1659-4195

〒969-1302 福島県安達郡大玉村玉井西庵183

自立心を養う子育て


2018年6月号
英会話スクール講師のデイビッド・セイン先生が、アメリカ流の子育てについてネット上の記事で紹介しておられたのを読みました。

考えさせる質問

セイン先生はこうおっしゃいます。
「私の両親もそうでしたが、アメリカでは日常の些細なことでも子どもによく質問をします。例えば『今日は何を着ていく?』とか。それにより洋服は小さい頃から自分で選ばせるなど、主に『何がしたいの?』とか『どう考えているの?』などを中心に質問することで、子どもに考えさせて自立心を促します。
(中略)
一方、その点では日本人のお母さんたちは過保護というか、それほど独立して欲しくない部分がある印象です。例えばうちのワイフ(日本人)なら『娘はどこの大学に行かせる?』などと言うことがありましたが、私からすれば『そんなことまで親が気にするの? 自分で考えたいでしょ』と思いました(笑)」。

自立とは何かというと、「自分のことは自分で考えて、自分で決断して、自分で行動して、行動した結果については、それが良いものでも嫌なものでも、自分で引き受けること」です。もちろん、自分一人でできることはたかが知れていますから、他の人の知恵や力を借りることが必要な場合はたくさんあります。それでも、誰に何をどれだけ助けてもらうかは自分で決めなければなりませんし、助けを求めるのも自分でしなければなりませんし、助けを借りた結果については自分が引き受けなければなりません。

ところが、本来これらを行なう能力がある人に対して、これらのうちのどれかを他の人が肩代わりするのは甘やかしですし、他人に肩代わりを期待するのは甘え(依存)です。

人は、肉体的に大人になったからといって、いきなり自立できるわけではありません。小さいときから、少しずつ自分で考える経験、自分で判断する経験、自分で実行する経験、結果を自分で引き受ける経験をしなければ、精神的に自立した大人になることはできません。

18歳になる頃には自立が完了するだけの力を養うためにも、セイン先生が紹介しているような質問を投げかけることを通して、子ども自身に考えさせたり、決断させたり、自分でやらせてみたりすることが必要ですね。

お金の管理

セイン先生によると、アメリカでは子どもが小さいうちからお金の管理も自分でさせるそうです。日本では小遣いは少額であることが多く、文房具や洋服など少し多めの出費がある場合には、そのたびに親がその分を与えるというのが一般的でしょう。すなわち、大きな金額の買い物については、親が管理するわけです。

しかし、アメリカでは、小学生になれば毎月大きい金額を子どもに渡し、その中で文房具や洋服なども買わせるそうです。月の途中でお金が足りなくなっても、月が変わるまで追加で渡すことはありません。そこで、子どもは自分で記録を付けながらやり繰りを考えなければならないわけです。

枠組みの中での選択

もちろん、子どもの思考力、判断力は、大人に比べればまだまだ未熟です。それに、自分で好き勝手に選ばせたら、勉強やお手伝いなど、どうしてもしなければならないことを避けるようになってしまうんじゃないかと心配なさる方もおいででしょう。

そこで、どうしてもしなければならないことはするという大枠は崩さず、その中で、自分で選ばせるという方法をとってみるのはどうでしょうか。たとえば、「これから宿題はいつやることにする?」とか、「うっかりして決めた時間に宿題を始めていなかったときは、お母さんはどんなふうにして気づかせてあげたらいい?」とか尋ねてみるわけです。約束したことを守らなかった場合のペナルティについても、あらかじめ自分で考えさせるのがいいでしょう。

こうして、自分で考えたり、決めたりする力を養った子どもは、自立心だけでなく自己肯定感も育ちます。様々な困難にも果敢にチャレンジしたり、人間関係をスムーズに結んだりするのには、どうしても必要な力です。ぜひ、できるところから、子どもに判断を委ねる機会を増やしてみてください。

information

福島県大玉村
スクールソーシャルワーカー
増田泰司(ますだたいじ)

〒969-1302
福島県安達郡大玉村玉井西庵183
TEL.080-1659-4195
FAX.0243-48-2909